ポストから取り出してパッと見て、そのままゴミ箱に捨ててしまう行動が当たり前になっている人が増えています。物を増やしたくない、情報過多を嫌うという価値観が広がっているからでしょう。
すぐ捨てる人ほど、情報が多いチラシを避けます。読む時間がない、必要ない情報ばかりだと感じると、即座に処分されてしまうのです。逆に、必要最小限の情報だけが載っているチラシは残される場合があります。
この記事では、すぐ捨てられるチラシを避けるため、情報を絞ったデザインと残される情報設計の考え方を整理しました。すぐ捨てる人に届けるには、引き算の考え方が欠かせません。
捨てられるチラシと残されるチラシの違い

すぐ捨てる人は、チラシを手に取ってから3秒以内に捨てるか残すかを決めています。その3秒で判断しているのは、自分に関係あるか、読む価値がありそうか、保存する意味があるかの3点です。この3つのどれかに当てはまらなければ、即座に捨てられてしまうでしょう。
判断基準は明確で、自分が使えるサービスか、今必要な情報か、後で見返す価値があるかです。すぐ捨てる人ほど、この判断が早く厳しくなります。情報が多いと判断に時間がかかるため、面倒に感じて捨ててしまうのです。
以下の表は、捨てられるチラシと残されるチラシの違いを整理したものです。
| 比較する項目 | 捨てられるチラシ | 残されるチラシ |
|---|---|---|
| 情報量 | 多すぎて読む気が失せる | 必要最小限で判断しやすい |
| デザイン | 情報が詰め込まれている | 余白が多く洗練されている |
| 余白 | ほとんどない | たっぷりある |
| 見やすさ | どこを見れば良いか分からない | 一目で要点が分かる |
この表から分かるように、残されるチラシは削ぎ落とされています。
3秒で判断される視線の動き
アイトラッキング調査によると、チラシを手にした人の視線は一定の順序で動きます。
まず紙面の左上か中央の大きな要素に視線が着地し、次に価格情報を確認し、その後立地を確認します。最後に「後で必要になるかもしれない」と思えるかどうかを判断するのです。
この流れで必要な情報が揃わなければ、その場で処分されます。視線が迷う余地を与えないほど、情報は絞り込まれていなければなりません。
情報を削ることが信頼につながる理由
情報が多いと、何を伝えたいのか分からなくなります。あれこれ同時に伝えようとすると、結局何も伝わりません。必要最小限に絞ると、伝えたいメッセージがはっきりするのです。
シンプルなデザインは、落ち着いた印象を与えます。余白があるチラシは高級感や信頼感が生まれやすく、情報を詰め込んだチラシは安っぽく見えがちです。
ミニマルなデザインは、捨てずに手元に残されやすくなります。

業種別の必須3情報を押さえる

多くのサービスは、価格・場所・時間の3つが分かれば判断できます。それ以外の情報は、無理に紙に詰め込む必要はありません。
飲食店なら、ランチ800円・駅前1分・11時から14時の3つで判断できます。美容院なら、カット3000円・駅ビル3階・予約制の3つで十分でしょう。フィットネスなら、月額5000円・24時間営業・体験無料の3つがあれば、興味を持った人は来てくれます。
メニューの詳細や店内の雰囲気、スタッフの紹介といった情報は、行くと決めてから知りたい内容です。チラシに載せる必要がありません。
紙とWEBの役割を分ける
紙には判断材料だけを載せ、詳細はWEBで見てもらう設計が効果的です。QRコードを大きく目立つ位置に配置すれば、興味を持った人がすぐにアクセスできます。すぐ捨てる人ほど、スマホで情報を集める習慣があるからです。
QRコードは右下に配置すると読み取り率が高くなります。サイズは最低2.5センチ四方を確保し、周囲に1センチ以上の余白を取ると読み取り精度が上がるでしょう。QRコード直下には「メニューを見る」「予約する」など具体的な行動を示した文言を添えると、遷移率が高まります。
WEBページには、メニュー詳細や店内写真、予約フォームを用意しておけば、チラシから行動につながるでしょう。
シンプルなデザインで洗練された印象を与える

余白が多いデザインは、落ち着いた印象を与えます。情報が詰まっているより、余白がしっかり取られている方が、洗練されて見えるでしょう。すぐ捨てる人ほど、こうした見た目の違いに敏感です。
紙面の情報密度は、余白50%以上、メインビジュアル30%、テキスト情報20%以下を目安にすると良いでしょう。
高級ブランドのチラシは余白率が60〜70%あり、これが洗練された印象を生み出しています。
文字サイズとフォントの選び方
文字を小さくして情報を詰め込むより、大きめの文字で内容を絞った方が読みやすくなります。
見出しは24ポイント以上、価格表示は32ポイント以上、補足情報は14ポイント以上が基準です。これ以下のサイズは「読ませる気がない」と判断され、チラシごと捨てられます。
フォントは游ゴシック BoldやNoto Sans JP Boldといった視認性が高いフォントを選ぶと、遠目で判読可能です。価格表示では、円マークより数字を大きく目立たせると効果的でしょう。
色彩設計は2色プラス白が基本
色数は2色プラス白が基本です。3色を超えると統一感が失われます。信頼感を出すなら、ネイビーとライトグレー、ダークグリーンとベージュ、チャコールとオフホワイトといった組み合わせが効果的です。
避けたいのは、赤や黄色を全面に使ったベタ塗りの配色です。強い色を重ねると、安っぽく見えやすく、すぐ捨てられる原因になります。さらに、蛍光色の多用は安っぽさが信頼を損なうため、控えた方が良いでしょう。
写真は1枚だけ大きく使い、色は2〜3色に抑えると、全体に統一感が出ます。見た目がすっきりしているチラシは、捨てにくくなります。部屋に置いても邪魔に感じにくく、あとで見返そうと思ってもらえるからです。
すぐ捨てる人が多いエリアの特徴

エリアによって、すぐ捨てる人の割合は大きく変わります。都心の単身向けマンションや共働き世帯が多い場所では、すぐ捨てる人が多い傾向があります。こうしたエリアでは、情報を絞ったチラシが必須になるでしょう。
反対に、戸建て住宅地やシニア層が多いエリアでは、情報量が多いのに読まれる場合があります。
エリアの特性に合わせて、情報量を調整する姿勢が求められるでしょう。
都心の単身向けマンションは即決型が多い
駅近のワンルームや1Kに住む20〜30代は、物を増やしたくない価値観を持つ人が多くいます。部屋が限られているため、不要なものはすぐに手放す習慣があり、チラシは帰宅直後の数秒で判断されがちです。そのため、情報は最小限に絞る必要があります。
こうした傾向は、都心部の単身向けマンションが多いエリアで特に顕著です。利便性を重視する人が多く、必要かどうかが瞬時に判断される環境では、チラシは即決型で見られます。
名古屋であれば、名駅や栄周辺のコンパクトマンションが該当します。こうしたエリアでは、シンプルなデザインと必要最小限の情報に絞ったチラシの方が反応を生みやすく、情報を詰め込んだチラシはその場で捨てられてしまいがちです。
共働き世帯へ向けた情報を絞ったチラシが刺さる
仕事や家事で忙しい共働き世帯は、チラシをじっくり読む時間がありません。夕方に帰宅してポストを確認する際、ひと目で内容が分からないチラシは後回しにされ、そのまま捨てられてしまうことが多くあります。
共働き世帯には、時短や手軽さが伝わる訴求が効果的です。テイクアウト15分、駅前受け取りOK、予約不要といった言葉は、忙しい生活の中で利用をイメージしやすくなるでしょう。
情報を詰め込むよりも、生活スタイルに合った要点だけを伝えることが重要です。必要な情報がすぐ分かるチラシほど、共働き世帯の手元に残りやすくなります。
捨てられないチラシに共通すること

すぐ捨てる人でも手元に残すチラシには、いくつか共通した傾向があります。紙がペラペラしておらず安っぽく見えないこと、余白がしっかり取られていて圧迫感がないことは、その代表例です。写真は多用せず、1枚を大きく使っているケースが目立ちます。
特に紙質は、見た目の印象に大きく影響し、触った瞬間に安価だと感じる紙は、その場で捨てられやすくなるでしょう。一方で、少し厚みがあり落ち着いた質感の紙は、内容を読む前に「残してもよさそうだ」と感じてもらいやすくなります。紙の種類や質感による印象の違いについては、Canvaの解説記事「印刷に適した用紙を選択する」にて分かりやすくまとめられているので参考にしてください。
文字数を抑え、読みやすいフォントを選び、色数を2〜3色に絞ることで、全体に統一感が生まれます。こうした要素が揃うと、チラシは情報としてだけでなく、空間に置いても邪魔にならない存在になります。その結果、すぐ捨てられずに手元に残りやすくなるのです。
必要最小限の情報で選ばれるチラシを作る

すぐ捨てる人ほど、判断の軸がはっきりしていることが分かりました。必要最小限の情報だけを載せることで、内容が伝わりやすくなり、結果として反応につながりやすくなります。
紙だけで完結させず、デジタル導線と組み合わせる設計が効果的です。チラシで興味を持たせ、QRコードから詳しい情報を確認してもらう流れは、すぐ捨てる人の行動に合っています。情報を削ぎ落とすことで、伝えたいメッセージが自然と際立ちます。
ただし、どこまで情報を減らせばよいのか、どの表現が適切なのかは悩みやすいポイントです。エリアの特性や業種によって最適な情報設計は異なるため、一概に正解を決めるのは簡単ではありません。株式会社ポスティングサービスでは、ターゲットに合わせた情報設計やチラシデザインの制作をサポートしています。「すぐ捨てられないチラシを作りたい」「プロにポスティングを依頼したい」と感じたら、気軽にご相談ください。

