有松絞りまつりは、名古屋市の南部に広がる町「有松」で、毎年6月に開催されます。
この有松絞りまつりは、江戸時代から続く伝統技法を今に伝え、体験や展示、パフォーマンスを通してその魅力を肌で感じられるイベントです。
歴史ある町並みに、色とりどりの絞り染めが風になびく光景は、訪れた人の心を穏やかに包んでくれるでしょう。
本記事では、有松絞りまつりの見どころをはじめ、アクセスや体験イベント、職人の実演にいたるまで、その魅力を余すことなくご紹介していきます。
有松絞りまつりの開催日程と基本情報

有松絞りまつりは、例年6月の第1土曜日と日曜日に開催されることが多いです。
名古屋市緑区にある有松の旧東海道沿いを中心に、歴史ある町並みを舞台として催され、通り沿いの町家や店舗では特別展示や販売が行われます。
観光案内所も臨時で設置され、パンフレットの配布や道案内があるため、初めての訪問でも安心して楽しめるでしょう。
開催エリアは徒歩で回れる範囲に収まっているため、散策しながらまつりの空気を満喫できます。
アクセス・駐車場情報
名鉄名古屋本線「有松駅」から徒歩すぐの立地にあり、電車でのアクセスがもっとも便利です。
また、まつり当日は駅前にスタッフが常駐し、道案内や案内看板の設置がされるため、迷う心配も少ないでしょう。
一方、車での来場も可能ですが、旧東海道沿いには一般の駐車場が限られているため、近隣の臨時駐車場や大型商業施設の一部が開放される見込みです。
交通規制が入る区間もあるため、公共交通機関の利用が最もスムーズといえるでしょう。

「有松・鳴海絞り」の魅力とは?

有松絞りまつりの中心となるのが、有松・鳴海絞りと呼ばれる伝統技法です。
布に糸をかけたり縫ったりして模様を染め分けるこの技法は、他にはない細やかさと美しさを持ち、現在でも多くの職人たちによって受け継がれています。
まつりでは、こうした伝統技法にふれる機会が多く、文化への理解を深めながら楽しむことができるでしょう。
江戸時代から続く伝統
有松・鳴海絞りは、1608年に竹田庄九郎という人物が開発し、東海道を行き交う旅人に人気を博したと伝えられています。
その後、有松の町では絞り染めが主要な産業として根付き、江戸時代から明治、大正、昭和と、幾度の時代を超えてきました。
このように、布一枚に込められた手作業には、400年以上もの時間が積み重ねられているのです。
有松絞りまつりで紹介される技術の多くは、まさにこの歴史を今に伝える文化遺産といえるでしょう。
100種以上の技法とデザイン
現在、有松・鳴海絞りには100種類以上もの技法が存在するとされており、それぞれに異なる表情があります。
中でも代表的なものには、手蜘蛛絞りや巻き上げ絞り、嵐絞りなどがあり、すべてが熟練の手仕事によって仕上げられていることが特徴です。
なお有松絞りまつりでは、こうした多彩な技法で染められた浴衣やストール、ハンカチなどが所狭しと並び、目にも楽しい展示空間となっています。
有松絞りまつりの体験イベントを楽しもう!

有松絞りまつりでは、見て楽しむだけでなく、実際に自分の手で絞り染めを体験できるイベントが大きな魅力となっています。
参加型の企画は観光客からも人気が高く、友人同士や親子連れなど幅広い層が笑顔で取り組んでいる様子が印象的です。
過去の体験メニューの例 | 特徴 | 所要時間 | 対象年齢 | 予約の有無 |
---|---|---|---|---|
雪花絞りハンカチ体験 | 板締め技法で幾何学模様を染める | 約30分 | 小学生以上 | 当日受付可(混雑時は整理券) |
手ぬぐい染め体験 | 染色範囲が広く、自由なデザインが可能 | 約40分 | 中学生以上推奨 | 一部事前予約あり |
絞り染め体験ワークショップ(親子向け) | 簡易な道具を使い、親子で作業できる | 約20分 | 幼児~小学生と保護者 | 当日受付可 |
職人との共演ワークショップ | 職人と一緒に本格的な作業を体験 | 約60分 | 高校生以上 | 要事前予約・定員制 |
絞り染めエコバッグづくり | 実用性が高く、自由に模様づけ可能 | 約30分 | 小学生以上 | 当日受付優先・残席あれば参加可 |
初心者向け体験メニュー
有松絞りまつりで提供される体験メニューは、初めての人でも安心して楽しめる内容が中心です。
たとえば雪花絞りは、折りたたんだ布に板を挟む染色技法で、幾何学模様のような美しい模様を染めることができます。
また、ハンカチや手ぬぐいなどの小物を用いた体験では、短時間でオリジナルの一枚が完成するため、時間に限りがある観光客にも人気があります。
会場内の特設ブースでは、スタッフが丁寧に説明してくれるため、小さな子どもでも無理なく参加できるでしょう。
予約や参加方法のポイント
体験イベントの一部は事前予約が必要な場合がありますが、当日受付のワークショップも数多く用意されています。
ただし、人気の高いメニューは午前中に枠が埋まってしまうこともあるため、早めの来場がおすすめです。
なお。予約が可能な体験については、公式サイトやSNSで情報が発信されることが多く、こまめなチェックをしておきましょう。
職人の技にふれる実演コーナー
有松絞りまつりの中でも、毎年多くの来場者を引きつけているのが、職人による実演コーナーです。
実演では、括り(くくり)と呼ばれる糸を使った模様づけや、針を使って布を縫い縮める作業などが披露されます。
たとえば、蜘蛛絞りでは細かな部分を数十回にわたって縫い縮め、染め上げた際に広がる模様がまるで蜘蛛の巣のように美しく浮かび上がるのです。
これらの作業はすべて手作業で行われており、機械では再現できない独自の風合いが生まれる理由を、目で見て実感することができます。
このように、有松絞りまつりでは職人との会話も楽しめるため、技法や道具についての質問も気軽にできるのも魅力です。
有松絞りまつりは山車とからくり公演も必見!

有松絞りまつりは工芸の魅力だけではありません。地域の伝統芸能として注目を集めるのが、山車の巡行とからくり人形による演出です。
歴史的な背景を持つ山車が町をゆっくりと進む姿は、有松の空気と調和し、訪れる人々の心に深く残る光景となるでしょう。
有松ならではの演出
有松の山車は、19世紀後半に製作されたとされ、彫刻や飾り金具の装飾が非常に豪華であることが特徴です。
からくり人形が組み込まれており、決められた時間になると人形が自動で動き出し、舞を披露する仕掛けに、多くの観客が見入ります。
特に注目すべきは、三番叟(さんばそう)で、五穀豊穣を祈願する内容が盛り込まれた演目です。
撮影スポットとしても人気
山車やからくり公演は、その視覚的な美しさから、フォトスポットとしても人気があります。
町並みと調和する和の色彩、動きのある人形の仕草、山車を引く地元の人々の衣装など、どこを切り取っても画になるシーンが広がります。
有松駅からすぐの通りや、旧東海道沿いは特に撮影に適しており、早朝からカメラを持った人々が集まる姿も見られるでしょう。
有松絞りまつりに訪れる際には、ぜひカメラやスマートフォンの準備を整えておきたいところです。
有松の町歩きも楽しもう

有松絞りまつりに訪れた際には、イベントだけでなく、有松の町並みそのものにも目を向けたいところです。
歴史が息づく通りを歩くことで、まつりの魅力がより深く味わえるため、伝統工芸の背景にある文化や生活を、五感で感じられる時間になるでしょう。
歴史的建築と町並み保存地区
有松の町は、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
たとえば格子窓や白壁土蔵、屋根の瓦など、細部にまで工夫が凝らされた町家建築は歩くだけでも価値があり、町全体がひとつの展示空間のようです。
また、東海道五十三次の宿場町として栄えた歴史を持ち、今もなお当時の面影を色濃く残す建物が並んでいます。
町家カフェやグルメスポット
町歩きの合間には、町家を改装したカフェや地元食材を使った食事処でのひとときもおすすめです。
有松の名物といえば、地元産のたまり醤油を使った料理や、和風スイーツなどがあります。
たとえば、築100年を超える町家を活かした落ち着いたカフェでは、抹茶と和菓子のセットや、絞りをモチーフにした限定スイーツが楽しめます。
有松絞りまつりの合間に立ち寄れば、歩き疲れた身体を癒やしながら、町の空気をしみじみと味わう時間になるでしょう。
そのほかに有松絞りまつりの概要は、2024年の有松絞りまつり実行委員会公式ページを参考になさってください。
まとめ:五感で楽しむ有松絞りまつりの魅力

有松絞りまつりは、見て・触れて・感じて・聞いて・味わって、五感すべてで楽しむことができる奥深いイベントです。
絞りの歴史にふれ、職人の技に感動し、自分の手で染め物を体験するひとときは、ただの観光では味わえない満足感があるでしょう。
また、町の空気、建物の佇まい、地元の食と人々の温かさもまた、このまつりの大きな魅力です。
一日では足りないほどの見どころが詰まったこのまつりで、ぜひ自分だけの発見を楽しんでみてください。
